「オレ、広辞苑。」

【メルマガコラム】2003/12/31

カワサキの小学校時代の淡い恋の話をしましょう。なに、聞きたくない?
 まぁそう無下に言わんと。こんなカワサキにもそんな時代があったのれす。

 カワサキの小学校は、高学年になると男女別クラスになって、中学受験に向けて
 一直線という、恐ろしい学校でした。睡眠時間もなく、出来帰り(問題ができる
 まで家に帰れない)や宿題や塾の日曜テストに追われる日々。

 そんな中、カワサキの心のオアシスは、隣のクラスのI君。学業超・優秀、
 眉目秀麗(高橋克典似だったような気もする)な上、6年の時に紅白運動会の赤組応援団長に選ばれ、
 東京農大伝統の(なぜウチの小学校でそれをしたのかはナゾ)大根を持って
 応援歌を歌う「大根踊り」をする姿を見て以来、ナゼかカワサキの気持ちは
 舞い上がるばかり。同じクラブに所属していたので何かと理由をつけては一緒に
 話をしたりしていました。

 ある時、「ねえ、最近どんな本読んでる?」と訊いてきたI君。
 バカに見られまいと「ヘッセの『車輪の下』とか……星新一とかかな……」と、
 いっぱいいっぱいの返事をした私に、ヤツは一言、
 「オレ、広辞苑(ふふん、って顔)」と……。

 あれって、読むものか?まぁ賢いのはわかるけどさぁ。読むなよ、広辞苑
 持ち歩くのも大変だろうに。どうやって読むんだ?「今日は『ほ』を読むぞ」とか
 言うんだろうか。「よし、『ら』まで制覇したぞ」とか。

 その日以来、彼は「アコガレのI君」から「変人I」へと格下げとなり、よく見ると
 クセ毛で髪形もヘン、とか、革靴のかかと踏み潰しててだらしない、とか、アラが
 見えてきて、カワサキの淡い恋は終焉を迎えたのでした。

 そんな広辞苑を読む変人I、立派にA布と筑B大付属K場の両方に受かって、A布を
 蹴って筑Kへ進学しました。その後、私と同じクラスでかわいいと評判だった
 Rちゃんのストーカーを1年ほどしていたらしいです(笑)。

 エリートにはご用心。変人率、高いでっせ。