文系バカ夫婦のケンカ

【メルマガコラム】2004/08/31

あれは5月だったか、娘の運動会を前に
 「そろそろビデオカメラ買う?」という話をオットに持ちかけたのだった。

 「買うならS●NYかな。PCとの接続を考えて」とオット。
 「S●NYのハ●ディカムといえばさぁ、初期のモデルに赤外線使用の暗視モード
 つけて、水着が透けて見えるって盗撮に使われちゃったとか何とか」
 それを聞いたオットが突然激怒。(AB型はこれだから……あぁいやだいやだ)

 「それは一体どういう根拠でそんなバカな話を信じるんだぁ〜!」
 「仕組みは知らないけど、前にテレビで言ってたもん!」
 「そんなバカな話があるかぁ〜!ハリウッド映画で見てると、赤外線スコープは
 あくまで暗闇でも物体が確認できるっていうもんだろ! 何で昼間に赤外線モード
 にして真っ白にならないんだ! 光量が多すぎて写らないんじゃないのか!」
 「そうかもしれないけど、知らないよ、そんなのー」

 2人とも、バリバリの文系である。私はセンター試験の理科科目は生物だったので、
 よくわからない。オットにいたっては、人生の中で理系科目に対する記憶自体が
 ない。大体、人に説教する根拠が「ハリウッド映画」っていう時点で負け。

 でもお互い物理なんて全くわからないので、
 「今度、オットの妹(大学では物理専攻)に聞こう」
 と、その日はお互いに不快な思いを抱えつつケンカは一旦停戦したのだった。

 そんなことをすっかり忘れていたら、この間6時のニュースで
 『危険な夏!海岸で赤外線スコープを使った盗撮現場をスクープ!』
 とかいう特集をしていて、
 「これだぁ〜〜っ!」とTVに張り付いた。証人として、娘にも
 「ちょっとコレ見て! 悪いおじさんがいるんだよ〜」と見せておいた。

 週末、オットに再び宣戦布告。数ヶ月も前のことを蒸し返されたオットは、
 娘の援軍も受けた私の論戦に
 「はいすみませんでした! よくわかりました!」と白旗。わはは、勝った。

 実際、赤外線フィルターをつけたビデオカメラは、水着のように薄い素材で
 身体にぴったりフィットして濡れた生地なら、透過して撮影できてしまうのだ
 そうな。くわばらくわばら。(どうせ私にそんな危険はないケド)

 いまだに科学的な仕組みはよくわからないのだが、とにかく不条理なケンカに
 数ヶ月越しで勝ったので、気分が良いのでありました。