スタアへの道!? (大カン違い編)

【メルマガコラム】2005/03/29 

年初から、カワサキは悶々としていた。
 我が国の国営放送の、しかも教育チャンネルから、カワサキにTVに出ろという
 指令が下ったのである。

 「インターネットで子育て?」というテーマで、インターネット上の子育て
 情報に詳しいヒト、というスタンスで話をすべしという。

 げ、まじですか、確かにあたしゃオールアバウトで「インターネットで子育て」
 って口走ってますけれども、実態は極めてチャラチャラしたヤツで、あんまし
 よく分かってないんですよ。いやホントにダメなヤツなんですよ。しかも妊婦
 なんで幅とるんですよ……と汗をかきかき申し上げたのだが、
 「いいから黙って出ろ」
 とおっしゃるので、そうですか、では頑張らさせていただきますです……と
 小さな声で消え入るようにつぶやいて、電話を切った。

 大変なことになってしまった。

 一度だけの出演に何を大げさな、けっ、と思われるでありましょうが、
 素人カワサキ的には一生に一度あるかないかの大騒ぎなのれす。

 翌日から、カワサキの緊張は「欽ちゃんの仮装大賞」のスコアみたいに
 上がって行った。20点満点ぶっちぎり、もういっぱいいっぱいでもちまへん、
 血管切れそう、うぅ、って感じである。

 以前のオールアバウト編集長インタビューの時もそうであったように、
 カワサキは基本的に頭が悪いので、何事も形から入ろうとする。お化粧はこうで、
 当日の髪形はこうで……と、話す内容はそっちのけで、そんなことばっかりに
 執心する。ド素人ゆえの悪あがき(っていうか逃避)もいいところである。

 何を着ていくか。これは妊婦カワサキ的に大問題である。
 「編集長インタビュー」に迷彩柄の特攻服を着て出てしまった轍を踏むわけ
 にはいかない。幸いウチには、大変に美意識の高い義母がいて「カワサキ家の
 総合スタイリスト」を務めているので、まずはお見立てをお願いすることとする。

 某マタニティー専門店で、小1時間に渡ってあーでもないこーでもないと試着する。
 義母は
 「あなた大きすぎて(むぅ。でも事実)、マタニティーでもサイズがないわー」
 と頭を抱えていたが、ようやく決まったのは黒のカシュクールトップスに黒の美脚
 (←悪あがき)パンツ、フランス製のデニムミニスカートを重ね履き、という
 さすがの小洒落たスタイルだった。イケてるじゃーん。

 しかしそれは収録の2ヶ月も前だった。やはり頭の悪いカワサキは、それを置いて
 おくことができずについ引っ張り出して着てしまい、気に入ってすっかり汚して
 しまったのだ。衣装未ダ決マラズ。逆戻りである。そのうち暖かい日が続き、
 カワサキ
 「こうなったら春物で行くべ」
 と、開店したばかりの別のマタニティー専門店を物色しに行く。

 カワサキは切羽詰っていた。お店のスタッフさんに、いきなり鼻息荒く
 「あたくしTVに出るんですの。顔映りのよろしいのをお見立ていただけるかしらっ」
 とぶつける(誇張)。

 「おやまぁびっくり」と、しかし心やさしいスタッフさんは、いくつもの
 コーディネートを用意してくれた。ここでもまた妊婦ファッションショーをし、
 スタッフさんとの相談のうえ、ようやく納得の行く「可愛らしいママ(人は、
 自分にないものを求めるのだ)」風の組み合わせを決めたカワサキは、
 「ではこちらを上から下まで全部いただくわっ。しめておいくらかしらっ」
 と、値札も見ずに勇気ある発言をする。
 こ、これってセレブ買いじゃん、きゃぁ。なんて内心思ってたら、
 「1万5千円になります」。
 いちまんごせん……ズルっ。そんなんでいいんですか。ムスメの「Angel Blue
 のブルゾン一枚分れす。えっと、それじゃそこにあるスリッパも下さい、と、
 カワサキ生涯初の「セレブ買い」は極めて小規模なものに終わった。

 トータル1万5千円の衣装も決まり、美容院にも行った。
 自主リハーサルと称して、一度全部の衣装を着てメイクもしてみる。
 オットにさりげなく
 「芸能人で言うと誰に似てるー?」
 と愚問を投げかけてみたら、
 「山」
 と言われた。
 それって、「誰に似てる」じゃなくて「(体型が)何に似てる」じゃんかっ。
 フユカイだ。もういい。ぷん。

 さて、「山」似のカワサキ、周り中の人々にごメイワクをかけながらも、当日の
 収録に臨むのみとなったのだが……。(以下次号 「NHK社会科見学編」)