不思議の国のアリス『赤の女王の仮説』って何?

【メルマガコラム】2003/08/22 

色々とナゾも多くめんどくさい、人間のオトコとオンナの相互関係。みんな
 ちょっぴり知らんふりしていますが、子育てを語るにあたってオトコとオンナを
 避けて通ることはできませんね。

 そもそも、なんで「オトコ」と「オンナ」に分かれてるんだろう?なんで生物は
 繁殖するんだ?という、素朴かつ原始的な疑問を持ったカワサキ、私なりの
 「夏休みの学習」として、進化生物学の本を読みました。

 バクテリアなどの単細胞生物は、自分の一部をぶっちぎって、増殖していきます。
 これが無性生殖。いちいち相手を見つけたり、求愛行動とかしたりして気に入って
 もらわなくていいから、とっても便利。

 一方、オスとメスがあって、生殖活動をして次世代の個体を作るのが、有性生殖
 でもこれには、ちゃんと相手を見つけられるかとか、受精がうまくいくかとか、
 繁殖するためにはいろいろとリスクがあります。手続きがちょっとめんどくさい。

 では、カンタン・確実な無性生殖から、リスクのある有性生殖になぜ進化して
 行ったのか?これは、オスとメスがそれぞれ異なる情報を持つDNAを組み合わせる
 ことで、より環境に適応した個体を産むため。繁殖するということは、進化すると
 いうことなのです。ですから、有性生殖のほうが生物学的にメリットが大きいので、
 雌雄のある生物が台頭したワケ。

 この辺までは、学校の生物の授業で習った内容ですね。ここからがちょっと
 アカデミック。

 なぜ、生物はDNAの合成を繰り返し、進化し続けるのか?これを説明するには、
 「赤の女王の仮説」というのが主流だとか。

 ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」で、ずっと走り続けている「赤の女王」
 に、アリスが聞くのです。「なぜ走り続けるの?」

 「ひとところにとどまっているには、走り続けなきゃいけないからさ」と、赤の女王。

 まさに、これと同じく「一度繁殖したら、その数を守るために常に遺伝情報が改良
 され続けなければいけない」という理由のために、生物は進化し続けるのだ、と。

 あぁ、なんてメルヘン。なんて詩的(ポエティック)。科学者って詩人だわ。
 電車の中で読んでいたカワサキ、感動のあまり涙が。なにやってんだか。

 でもね、「ひとところにとどまっているには、走り続けなきゃ」って、極めて
 現代的な表現を生物学の仮説に引用するなんて、卓越したセンスだと思いませんか?
 ラジオで宇宙飛行士の毛利衛さんもおっしゃっていましたが、

 「宇宙人?いますよ、あたりまえでしょう。こんなに広い宇宙の中、人間だけが
 『知的生命体』だなんて、おこがましくって」

 科学者って、すーてーきー。カワサキももっと数学頑張ればよかった(涙)。
 (結局そんな結論だよ・・・底が浅いオンナですまん。)